「世界第2位のベリーズバリアリーフ」この言葉を見つけた瞬間私達のベリーズ行きは決定した。ということでグアテマラ入国4日目には出国してしまっていた。物価が先進国並みなので、目的をダイビングに絞り、キーカーカーという島で3泊4日という旅程を組んだ。行ってみると、島にはダイビングやシュノーケルの看板が目立っていた。そして、どうやらここでは「ブルーホール」という名のポイントがダイバーにとってのハイライトらしいということもすぐに分かった。

ちなみに私はPADIのライセンスをタイで取得した。しかも調子に乗ってアドバンス。しかし、潜った本数はビギナーレベル。それでも、カードにはしっかり「ADVANCE」と書かれ、勘違いされると困るので、いつも申し込み用紙にははっきりと「Begginer」と記載している。

私達は一応キューバでも潜っているが、それでも毎回1本目はどきどきするので、ブルーホールの前日には違うポイントにも潜って準備OK。アドバンス取得の時も30Mくらい潜ったというのもあって、この時点では40Mをとても甘くみていた。

いよいよ当日、朝6時に集合しブルーホールまで船で2時間!!相変わらずの船酔いに耐え、到着するとインストラクターの説明が始まった。その中で「深いところまでいくので、どっかに小さい亀裂があるとレギュレーター(空気を吸う為に口にくわえるもの)に海水入ってくることもあるけど、その場合はオクトパス(予備のレギュレーター)に切り替えてね。パニックにならないように・・・」という発言があり、日本で潜るのと同じ様な値段を払っているのに冗談じゃない!と思っていたのと同時にちょっと緊張感が高まった。

そして海の中へ。船から飛び込んだ瞬間すぐに魚が見えて、わくわくしたがもちろんそれは束の間の平穏にしかすぎない。どんどん下へ下へ進むに連れて海は水色から青→紺と暗くなっていき下を見渡すと闇が広がっている。何がブル-ホールだ。ブラックホールじゃないか・・・。

とにかく水が紺色に近づいたときには、もちろんレギュレーターから海水が入ってきた。言われた通りオクトパスに切り替える。しかし、まだ入ってくるじゃないの。おかしい。しかもマスクの水を何回抜いてもこれまたすぐに入ってきて鼻もおかしい。ダブルで苦しい状態に焦ってきた、、、、。やばい。落ち着け、私。ということでMITSUEのオクトパスを試して、他の人の浸水具合を確かめてみようとオクトパスをねだる。この行動がMITSUEをもパニックに引きずり込んでしまった。そして、彼女のオクトパスは私のよりは海水は入ってこない。・・・ような気がした。

ということは私のレギュレーターはおかしいということになる。もうなんでもいいから「おかしい!」という合図を必死にインストラクターに送り、来てもらった。彼はもう一度私のオクトパスを使うように促し、「これでいいだろ?OKだろ?」の合図を送ってくる。もちろん水中で「自分のオクトパスは既に試してみました。」なんて言えないので、とりあえず息を吸って落ち着こうとしていた。その間MITSUEは横についていてくれたが「もう上がる?」のサインまで出していて、マスクから見える目は困惑していた。上がるのはなんだかここまできて・・・とパニックながらに思っていたので、しばらく自分のオクトパスに慣れることに専念してみた。右にMITSUE左にインストラクターという状況で、だんだん落ち着きを取り戻し、海水が入ってくるのにも慣れたのでO.Kサインを出しなんとか進みだすことができた。

この焦りの原因はまさに「闇」であったと思う。そこの見えない闇が目前に広がっていて、ちょっとしたことが大きな焦りになってしまった。しかも、せっかくレギュレーターにも慣れたのに魚はおそらく10匹も見えなかったのではないかというぐらいだ。船に上がった瞬間誓った。「もうディープダイブなんて結構です。」

その夜、インストラクターが今まで最大の深度は100Mだとか話していたので、そんなに深くて真っ暗で何が見えるの?と聞いてみた。すると答えは・・・
「myself」とのこと。

私にとってダイビングはあくまで娯楽であり、音のない静かな海の中で綺麗なお魚さんたちを眺めるものである。闇の中で自分を見つめるものではない。ということは、もう深度40Mとはおさらばだ。

最後に付け加えておくが、ブルーホールの後に潜った各ポイントは素晴らしく、水槽の中にいる気分になれた。珊瑚礁が深くまで続いていて、海面下にあれほど豊かな世界が広がっているのかとため息がでたほど。
ベリーズバリアリーフは私の期待を裏切らなかった。

(11月13日 yoko)

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